モノログ

深夜の列車

[写真 銀河鉄道が走る]

  本を読んでいても字が目になじまない日があります。 空の高い秋の日とか、走りすぎた日曜日とか。 きのうの夜は雨模様なので、そんなことはないだろうと本を開いて、気がついたら別のことを考えていました。

晩秋の海辺は何回かの雨と、風にかためられて、夏の熱気がぬけ、チャポっという波の音と潮の香りがちょうどいい刺激になって、ぶらぶら歩くにはいい、砂も固まっているだろうなとか。

目をわきの棚に移すと、宮沢賢治の銀河鉄道の夜があり、沢木耕太郎の深夜特急がある。 旅にいきたいなぁとか。 いつのまにか深夜の列車で旅に出ていて、日常からちょっと離れて堪能した、一瞬の秋。

晩秋の旅もいいなぁ、新鮮なきもちを見つけたいなぁと考えていたら、「なんにもなくさないで旅をしようなんて、深夜の列車にのれないよ。」とささやく声が聞こえました。